Bike Information Portal Site

バイク旅行記

NO IMAGE

バイク旅行記

エルネスト・チェ・ゲバラという人
ゲバラというとキューバ革命の英雄なのですが、その名前を知らない人のほうが今となっては大半かもしれません。
『モーターサイクル・ダイアリーズ』という映画があります。
そのキューバ革命の英雄ゲバラの南米旅行記である『チェ・ゲバラ モーターサイクル南米旅行日記』が原作です。
映画はロバートレッドフォードが制作総指揮をしたことで評判になりました。
1951年からその翌年にかけて、ゲバラはポンコツのノートンで友人と一緒に南米を旅行するのです。
これがまたいい加減というか若気の至りというかなんともヘナチョコ旅なんです。
ノートンが途中で動かなくなってしまって、よく壊れるバイクなんですが、ゲバラもよく熱を出して寝込みます。
そして、旅行もヒッチハイク…とういよりも無銭旅行に切り替えて旅を続けるのです。
このヒッチハイクに転じるのが本の中ではおよそ3分の1あたりですから、バイクによる旅のほうが付けたしのようなものなのです。
ヒッチハイクにしても、人のお情けにすがりついたかと思うと密航があったり、したたか者にだまされたりといった珍道中となっているのです。
この本を読むと、この革命家との距離がいっきに縮まります。
しかし、考えてみると旅をしているころのゲバラはまだ有名な革命家でもなんでもなかったのです。
この南米ツーリング…というよりもヒッチハイクの旅の前年にもゲバラは自分で組み立てた自転車で、アルゼンチン4000まいる単独走破の旅をしています。
モーペットでツーリングと記述してある書籍もあるのですが、自転車が正しいようです。
その記録も是非読んでみたいものです。

ブラジル オン・ザ・ロード
南米と言えば『ブラジル オン・ザ・ロード』という本があります。
これは日本人の石山和男という人が書いた本です。
「僕はレコード会社のディレクター時代にブラジル音楽と出会った」といった書き出しではじまるこの本の著者が担当したジャヴァンやシモーネによってボサノヴァやサンバ以外のブラジル音楽に、すなわちMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)を知ってのめり込んだ人もいるのではないでしょうか。
この石山和男さんはもってのめりこんで、とうとうレコード会社を辞めてブラジルの旅に出るのです。
バイクによる海外の旅の本は今では、もう珍しくないのですが、ほとんどは旅行日記といった程度の記録にすぎません。
この本がそれらと決定的に違うのは、「『僕は遠く下手旅することで、自分の正体を消すことに憧れていた。いつまでたっても自分自身のことが分からない。たいしたこともしていないのに、見栄や虚栄に包まれている。」という文章を拾っただけでも十分すぎる。
そして、この本には独特の色気のようなものがあって、それが読む人の心を引きつけるのです。

小澤征爾の『ボクの音楽武者修行』
著者は世界の小澤…指揮者の小澤征爾さんです。
これはかなり意外ですね。どこにバイクとの接点があるのでしょうか。
1959年、当時24歳の小澤征爾はスクーターを船に積み込んで、ヨーロッパに音楽武者修行の旅に出ます。
当時はバイク(スクーター)を運んで持ち込むといったことが簡単(かどうかはわかりませんが)にできたのに驚きます。
この本にはその旅と、さらにその後のアメリカのことが書かれているのです。
スクーターの名前は、富士重工から出ていたラビットジュニア125ccを小澤征爾が手に入れたのですが、富士重工から譲り受けたときに次の条件があったそうです。
・日本国籍を明示すること
・音楽家であることを示すこと
・事故を起こさないこと
「この条件をかなえるために、ぼくは白いヘルメットにギターをかついでに日の丸を付けたスクーターにまたがり、奇妙ないでたちの欧州行脚となったのです」
このスクーターに乗って行った欧州行脚が小澤征爾さんの原点だったのですね。